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いくら食べても減らない花を
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やさしくてつめたい気持ちになる
遠ざかる記憶の中ですら
ぼくは行き場所を失っているけれど
薄れゆく面影は
今もわらっているだろうか
あなたがわらっているのならそれでいい
うまく思い出せないことに苛立っても
それこそが世界を回しているから

せつなさの原点には忘れてしまった体温があって
ぼくは飲み干してしまったことを後悔する
no title
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ぼくは
ぼく自身が子どもだったこの場所で
永遠に子どもでいたかったけれど
それは叶わないらしい。

昔に戻りたいわけじゃない。
後悔は消えない。
あなたを忘れたいわけじゃない。

ただ
ここでだけは
永遠に子どものように
わらっていたかった。
瓶詰の魂
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雨音と規則正しいあなたの呼吸と
遠くで聞こえるサイレンと。
隣人の垂れ流すテレビの音は少し厄介で
漆黒の夜とはいえど
様々な気配に溢れている。
否応なしに掻き立てられる漠然とした不安。

せめて と もっと で繋がるぼくらの日々は
月の光に支配されているが
月の光はぼくの肩に
やさしく降り積もる。

ぼくがぼくであるということと
あなたの呼吸と
月の光は
何か密接に結び付いているような気がしてならないけど
空き缶に閉じ込められた意識の断片が
これ以上の思考を許さない。


身体の奥に生まれた甘い疼きを
ぼくはどのようにして支配すればいいのかわからない。
鼓膜の更に奥で刻まれる時計の音を
ぼくはどうしたら止められるのかわからない。

弾丸みたいに素早い言葉と
月の光みたいな柔肌が
そろそろぼくを
眠らせてくれるらしい。
目が覚めたら
どうか夢も終わっていますように。
負け犬でいい
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マイルドセブンの匂い
わたしの足音と同じ足音
家中に響き渡るギターの音
やさしい手のひら

玄関から減った靴
開かなくなった扉
使われなくなったお茶碗
「おかえり」の低い声




悲しみは悲しみのまま
寂しさは寂しさのまま

折り合いをつけて生きていくことの難しさよ



ぼくのなみだがわらう日まで。

ハロクライン
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切り取るべく一瞬さえも持たずして
否定的な言葉さえ並べていれば
生きていけると思っていたよ

ポケットに広がる闇の奥
蠢く感情は布越しにぼくを脅かすのに
何時かの夢の続きがまだ訪れない
果たせなかった約束も
行き場を失くして途方に暮れた

夜の帳もほどほどに
星を数えて眠りたい
鎌のように鋭い月は
きっと蜜柑なんかの味がする

どうかあなたがいつまでも
だいすきなうたをうたっていますように
どうかぼくがいつまでも
蜜柑なんかを食べながら
あなたの声がきけますように

何時かの夢の続きが見られなくても
おやすみがどうしたってこわくても
宇宙でいちばんやさしいうたを知っている



無敵のうたをしっている
午前3時40分
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裏切りという名の宇宙の下で
多義的に愛を謳うというのは
一体どういうことだろうか?

電気羊を必要としないぼくらの希望は
確実に終焉へと向かう足取りを
実感としてこの身に刻むことが出来るということだ

幸いにも
ぼくはまだぼくとして確立しているが
致死的な活字なんてものは
どこにも存在しない



だからぼくだけ消し去って
せめてぼくだけ消し去って

知りたい
死にたい
知りたいだけだよ




だからぼくは消え去って
半分になった月の浮かべた冷笑に耐えられなくなって
闇夜が呟くぼくの名前は
嘘と無知と虚勢に満ちていた


みんな愛想を尽かして
最期にはいなくなってしまうかもしれない

そして
それを恐いと思う半面
ぼくはどこかでそれを望んでいるのかもしれない


ぼくはだれにもやさしくできない
失いつづける
晴天の霹靂
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どこか遠くの
世界が一層深くなっているところで
踏切の音がきこえる
(続け様に3回)
そのあとを追うように
貨物列車が機械的な音を立てながら走り去った

あたりの家に明かりはなく
この部屋だけがぽっかりと闇夜に浮かんでいる

ぼくは網戸にした窓の横で
本を一冊読み終え
下腹部の鈍痛と向き合う
異形の世界、とぼくは口に出した
そのことによって下腹部は痛みを増したような気がしたが
言葉を確かめずにはいられなかった


一種のざわめきのようなもの
ぼくが眠れずに辟易していることは
真夜中の3時に犬を連れて歩き回る隣人(大きな声で犬に話し掛けている)よりは
幾分まともであるはずだ




眠れぬ夜の思考は続き
今日もぼくは
鈍痛と隣人に悩まされながら
いずれは眠りに付き
合図が為されるまで目覚めることはないだろう
孤独の恩恵よ
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朝になって空が白んでくると
落ち着かなくてざわついて
存在を否定されたような感覚に陥る

概念の分解と散開と崩壊

どうして
ここに
いるんだろう

言い知れぬ疎外感は質量を増すばかりで
あっけなくぼくを終わらせるんじゃないだろうか


太陽さえ失くなれば
ぼくの始まりだ


満ち欠けの果てに見出だした狂気は
あなたさえも欠いてしまうのに
そんな世界を
やっぱり生きなければならないみたいで
ぼくはもう、うんざりだ


だけど
それも悪くない
涙さえも笑う
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真昼の月の
あんまりにも白けているのに気が付いて
ほんの少し
ぼくは不安になる

朝焼けと夕焼けの違いさえ朧な空は
優しくもなんともないし
ぬけるような青色は
目に悪い

だけど
夜と朝の間だけは
ぼくを嘲笑いはしないんだ

少し辛そうに息をする君は微笑っているけれど
明け方5時のオレンジ色は
誰にも平等でなはくて
暇潰しのお伽話は行くあてを失った

ぼくが失くなっていく

錆び付いた空気の循環に苛立ちを覚えながら
137億年前に放たれた光なんかのことを考えると
ぼくが失くなっていくというのは
なんだかとても素敵なことのように思えた